こんにちは、わかばやしクリニック 内科・耳鼻咽喉科です。

今年のインフルエンザ感染症は、例年よりも早い時期に流行中です。
【この記事のポイント】
•愛知県は注意報レベルに入り、今季は例年より早く流行しています
•受診や検査は、症状が出てから半日〜1日ほど後が目安です
•お子さまの服薬後は、少なくとも2日間は目を離さないでください
•ワクチンは発症や重症化の可能性を下げます(感染を完全には防げません)
1. 愛知県と豊田市の状況
インフルエンザの流行状況は、県が指定した「定点医療機関」から毎週報告される患者数をもとに把握されています。1つの定点あたりの平均報告数が1を超えると「流行入り」、10を超えると「注意報」、30を超えると「警報」の目安です。
愛知県では2026年第38週(9月14日〜20日)の報告数が15.12となり、注意報の基準を上回りました。推移は、第35週1.10、第36週2.42、第37週6.58、第38週15.12で、短い間に急速に増えています。今季の流行入りは第35週(8月24日〜30日)で、過去10年の発表と比べても早い時期です。
豊田市内の定点(9か所)では、第38週の報告数は 9.44]でした。市内の学級閉鎖は9月27日時点で8件です。前シーズン全体の延べ313件と比べると、まだ流行の初期段階といえます。ただし、今後の増加には十分な注意が必要です。
2. 主な症状と注意したい合併症
インフルエンザは、咳・鼻水・のどの痛みといった風邪の症状に加え、突然の38℃以上の発熱、頭痛、関節痛、筋肉痛、強いだるさが現れるのが特徴です。主に咳やくしゃみの飛沫、ウイルスの付いた手や物を介して広がります。感染してから症状が出るまでは、通常1〜3日ほどです。
多くの方は数日で回復しますが、気管支炎や肺炎を起こすことがあります。小児では中耳炎、熱性けいれん、脳症などを併発することもあります。特に、高齢の方、乳幼児、妊娠中の方、慢性の呼吸器・心臓・腎臓の病気や糖尿病のある方は、重症化しやすいとされています。
次のような症状があれば、すぐに受診してください。
•息苦しさがある
•意識がぼんやりする、呼びかけへの反応が鈍い
•けいれんを起こした
•水分がとれない、尿が出ない
•解熱後に、再び高熱が出る
3. 必要な検査と、受けるタイミング
検査は、鼻やのどの奥を綿棒でぬぐう迅速抗原検査が中心です。10〜15分ほどで結果が出ます。
発症直後は体内のウイルス量が少なく、実際に感染していても陽性に出にくいことがあります。そのため、発熱などの症状が出てから半日〜1日ほど経過した頃の受診が目安です。一方で、抗インフルエンザ薬は発症から48時間以内に始めると、発熱期間の短縮などが期待できます。
高熱が続いてつらい場合や、重症化しやすい方、乳幼児は、時間を待たずにご相談ください。新型コロナなど他の感染症との区別が必要な場合もあるため、受診前にお電話をいただけると、院内感染の防止にもつながります。
4. お子さまが抗インフルエンザ薬を使うときの注意
異常行動への見守り
•急に走り出す、部屋から飛び出そうとする、徘徊するといった行動が報告されています。
•薬を飲んだかどうかにかかわらず起こりうるため、少なくとも治療開始後2日間は、お子さまを一人にしないでください。
•玄関や窓の施錠、ベランダに面していない部屋で休ませる、できるだけ1階で休ませるなどの対策も有効です。
薬の選び方
•薬は、年齢や状態によって使い分けます。
•日本小児科学会の指針では、オセルタミビルは乳児から推奨されています。
•バロキサビルは、1〜5歳には積極的には推奨されていません。6〜11歳でも、A型には慎重に投与するとされています。薬が効きにくいウイルスが出現しやすいことが、その理由の一つです。
•吸入薬は、お子さまが上手に吸える場合に限られます。
•自己判断で薬を選ばず、医師にご相談ください。
飲み切ることと解熱剤
•熱が下がっても、自己判断で中止せず、処方された日数は飲み切ってください。
•解熱剤は、使えるものが限られます。市販薬を使う前に、必ず医師・薬剤師にご相談ください。
•熱が下がった後も、水分を十分にとり、しっかり休ませてください。
5. 今後の流行時期の見通し
愛知県では例年、12月上旬〜1月に流行が始まり、1〜3月に患者数が多くなります。しかし今季は、例年より約3か月早く流行入りし、注意報も9月に発令されました。
2023/24シーズンも流行入りが早く(第36週)、注意報は10月26日、警報は11月9日に発令されました。今季は、さらに早い時期から増えています。このため、秋から初冬にかけて患者数が急に増える可能性があります。その後、流行が長引いたり、再び増えたりする可能性も否定できません。
ただし、ピークの時期を正確に予測することはできません。今後の発表を確認しながら、早めに備えることをお勧めします。
6. 感染予防と、かかったときの過ごし方
日常の対策としては、次のことが基本です。
•外出後や食事前の手洗い
•咳やくしゃみが出るときのマスク着用
•室内の換気と、適度な湿度の保持
•十分な睡眠とバランスのよい食事
かかったときは、水分をこまめにとり、安静に過ごしてください。学校保健安全法では、出席停止の期間は「発症後5日を経過し、かつ解熱後2日(幼児は3日)を経過するまで」とされています。職場への復帰時期は、ご自身の体調と、職場の規定に合わせて判断してください。
7. ワクチンの効果と副反応
効果
•ワクチンは感染を完全には防げませんが、発症を一定程度抑え、重症化を防ぐ効果が報告されています。
•日本の研究では、65歳以上の健康な方で約45%の発病阻止、約80%の死亡阻止が報告されています。
•効果は、年齢や体調、流行株との一致状況によって変わります。
•接種後およそ2週間から効果が現れ、約5か月続くとされています。
•今季は、A型2株・B型1株の3価ワクチンです。
接種回数
•13歳未満は2回接種です。2〜4週間あけて接種します(4週間が標準)。
•13歳以上は、原則1回です。
•2回接種が必要なお子さまは、1回目を早めに受ける必要があります。
副反応・注意点
•接種部位の赤み・腫れ・痛みがよくみられます。
•発熱、頭痛、だるさが出ることもありますが、通常は2〜3日で軽くなります。
•まれに、アナフィラキシー(強いアレルギー反応)やギラン・バレー症候群などが報告されています。接種後30分は、院内で様子をみてください。
•帰宅後に高熱、じんましん、息苦しさ、手足の力が入らないなどがあれば、すぐに受診してください。
•当日37.5℃以上の発熱がある方、過去の接種で強いアレルギー反応があった方、卵アレルギーの強い方は、事前にお申し出ください。
•予防接種による重い健康被害には、国の救済制度があります。
8. まとめ ― 当院でのワクチン接種のご案内
今季は流行が早まっているため、ワクチン接種を早めにご検討ください。当院では内科でインフルエンザワクチン接種を行っています。お子さまは2回接種のため、1回目のご予約はお早めにどうぞ。
当院公式ホームページでは、こちらからワクチン接種の予約について案内しております。御参照ください。
持病のある方や、接種に不安のある方は、診察時にご相談ください。
参考文献・資料
•愛知県「インフルエンザ注意報を発令します!」(2026年9月28日)
•愛知県「インフルエンザの発生状況」
•豊田市「インフルエンザ」「豊田市の新型コロナウイルス、インフルエンザの定点把握について」
•日本小児科学会「2025/26シーズンのインフルエンザ治療・予防指針」
•日本感染症学会提言「抗インフルエンザ薬の使用について」
•厚生労働省「インフルエンザQ&A」
•厚生労働省「抗インフルエンザウイルス薬の使用と異常行動に関する注意喚起」
•学校保健安全法施行規則(出席停止の期間の基準)
監修者:
わかばやしクリック 内科
小林直人 著・編
(内科学会認定医・腎臓学会認定専門医)