こんにちは、わかばやしクリニック 内科・耳鼻咽喉科です。
高血圧や糖尿病、脂質異常症といった「生活習慣病」は、血管だけでなく腎臓にも影響を及ぼすことが知られています。日本の慢性腎臓病(CKD)患者数は約2,000万人、成人の約5人に1人にのぼると報告されており[1]、生活習慣病の管理は腎臓の健康を保つうえでも重要とされています。
腎臓は「沈黙の臓器」
腎臓は機能が低下してもかなりの段階まで自覚症状が乏しいことが知られています。そのため、健診で数値を指摘されても、自覚症状がないことを理由に受診を先延ばしにしてしまう方も少なくありません。腎機能の変化に早く気づく手がかりは、血液検査(eGFR:推算糸球体濾過量)や尿検査(尿蛋白・尿潜血)といった、日頃の健診項目の中にあります。
生活習慣病と腎臓の関わり
糖尿病
高血糖の状態が続くと、腎臓の糸球体(毛細血管の集まり)に負担がかかり、糖尿病性腎症につながることがあります。糖尿病診療ガイドライン2024でも、血糖・血圧・脂質などを総合的に管理することが腎症の発症・進展抑制に重要とされています[2]。日本透析医学会の調査(2023年)では、新たに透析導入となった患者の原因疾患のうち、最も多いのは糖尿病性腎症で全体の約4割を占めています[3]。
高血圧
血圧が高い状態が続くと、腎臓内の細い血管(細動脈)に負担がかかり、腎硬化症と呼ばれる状態を招くことがあります。同じ調査で、腎硬化症は透析導入原因の第2位であり、近年増加傾向にあることが示されています[3]。2025年に改定された高血圧管理・治療ガイドライン2025でも、血圧管理の重要性が改めて示されています[4]。
脂質異常症・肥満
脂質異常症や肥満も、腎臓の血管や糸球体に負荷をかける要因の一つとされています。生活習慣病は単独ではなく重なって存在することが多く、それぞれを合わせて管理することが腎臓の保護につながると考えられています。
健診結果で確認したいポイント
- eGFR(推算糸球体濾過量)の値
- 尿蛋白・尿潜血の有無
- 血圧、HbA1c、LDLコレステロールなどの数値
これらの項目に異常を指摘された場合、自覚症状がなくても一度内科(腎臓内科)にご相談いただくことをおすすめします。
早期のご相談について
生活習慣病や腎機能の変化は、早期に見つかるほど生活習慣の見直しや治療の選択肢の幅が広がります。当院の内科では、腎臓内科専門医による相談も行っております。健診結果でお気づきの点がございましたら、お気軽にご相談ください。
※ 症状や治療の内容・経過には個人差があります。ご自身の状態については診察のうえでご説明いたします。
まとめ
- 生活習慣病(糖尿病・高血圧・脂質異常症・肥満)は腎臓に影響を及ぼすことがあります
- 腎臓は自覚症状が出にくいため、健診結果(eGFR・尿蛋白など)の確認が大切です
- 気になる数値があれば、早めに当院の内科・腎臓内科へご相談ください
参考文献・ガイドライン
[1] 日本腎臓学会 編. 『CKD診療ガイド2024』. 東京医学社, 2024.
[2] 日本糖尿病学会 編・著. 『糖尿病診療ガイドライン2024』. 南江堂, 2024.
[3] 日本透析医学会. 「わが国の慢性透析療法の現況」(2023年12月31日現在)統計調査報告.
[4] 日本高血圧学会 高血圧管理・治療ガイドライン作成委員会 編. 『高血圧管理・治療ガイドライン2025』. ライフサイエンス出版, 2025.
